ブログ引っ越し後に最近の工作記事をまとめたら、ヘッドホンアンプ回路の記事が無いことに気づきました。ということで、最近気に入っている回路をご紹介。
オペアンプを使ったヘッドホンアンプの回路にはいろいろな形式がありますが、単純化すれば「利得のオペアンプ」と「バッファ」の接続方法の違いになります。
また、回路定数にもよりますが、オペアンプによっては出力にオフセットが出る品種があります。出力オフセット電圧を遮断するのに出力カップリングコンデンサを使うことがありますが、良くも悪くも音質に影響します。オペアンプの音を聴く事を考えると、カップリングコンデンサも除去したくなります。そこで、オペアンプによるアクティブDCサーボでオフセットをキャンセルしました。
ゲインの切り替え機能も採用し、遊ぶポイントが盛り込まれています。回路自体は独創的ではないですが、色々工夫しつつ秋月C基板にまとめてみました。接点は多くなりますが、実用性は高いです。
電源回路は別途用意して下さい。当サイトで紹介している回路としては…
→ トランスを用いた自作ACアダプタ (正負電源出力仕様)。
→ オペアンプ+SEPP分圧。
もちろん、偶数本の電池を用いて正負電源としてもOKです。電圧はオペアンプやコンデンサの耐圧次第ですが、この定数のままで±2.5V~±15Vまでは確認済みです。

回路図は片チャンネル分です。また、電源回路を省略しています。
*2014/08/13…R1削除、C1場所変更、VR抵抗値変更(20kΩ→10kΩ)、R10-12抵抗値変更(47Ω→22Ω)
秋月C基板にかなり高密度実装しています。とはいえ、チップ部品の使用や特殊な配線方法はしていないので、作製自体は面倒ですが難しくはない・・・はず。配線図中で赤いラインがジャンパ線を示していますが、片面基板を使えば被覆線を使う必要はありません。
オペアンプはデュアル仕様で配線してあります。シングルオペアンプはデュアル化してください。なお、上記配線図には、回路図中に記載していない電源のデカップリングコンデンサを設置してあります。
J7-8のジャンパは配線図だけだと実際に使う場合の接続がわかりにくいかもしれません。配線図上で見た時に、ジャンパを縦に接続するのが通常使用時、横に接続するのが出力抵抗スルー時です。記事冒頭の完成写真も参考にしてください(通常使用時の接続になっています)。
特に指定部品は無いですが、R1~R12 (R2, 7, 8は除く)については音響用の抵抗を使ったほうが良いでしょう。VRも音質に大きな影響を与えます。定評のある品を使ったり、電子ボリュームに置き換えたりするのがオススメです。
C9-10はスペース的な問題で5mmサイズの電解コンデンサを選択して下さい。C3のマイカコンデンサは、フィルムコンデンサ100pFと220pFの直列接続に置き換えてもOKです。(=約68pF)
オペアンプの品種はお好みで。サーボはLT1112がオススメです。鈴商にて激安で販売しています(SOP品が\210)。秋月もDIP品が\300と安価。
オペアンプを使ったヘッドホンアンプの回路にはいろいろな形式がありますが、単純化すれば「利得のオペアンプ」と「バッファ」の接続方法の違いになります。
- CMOY・・・利得のみでバッファなし
- A47・・・利得とバッファをパラレル接続
- シリーズ接続・・・利得とバッファを直列に接続
- A47出力強化・・・利得とバッファをパラレル接続、出力抵抗の比を変更
また、回路定数にもよりますが、オペアンプによっては出力にオフセットが出る品種があります。出力オフセット電圧を遮断するのに出力カップリングコンデンサを使うことがありますが、良くも悪くも音質に影響します。オペアンプの音を聴く事を考えると、カップリングコンデンサも除去したくなります。そこで、オペアンプによるアクティブDCサーボでオフセットをキャンセルしました。
ゲインの切り替え機能も採用し、遊ぶポイントが盛り込まれています。回路自体は独創的ではないですが、色々工夫しつつ秋月C基板にまとめてみました。接点は多くなりますが、実用性は高いです。
回路の概要
- 両電源が必要
- アクティブDCサーボ採用でカップリングコンデンサなし
- ゲイン切替(3倍 or 5倍)
- ジャンパ切替でCMOY、A47、シリーズ接続などに変更可能
- 利得、バッファ、サーボはそれぞれ別オペアンプを使用
- 入力LPF、DCサーボ出力LPF採用
- 別ボードで回路を組めばディスクリバッファにも対応可能
電源回路は別途用意して下さい。当サイトで紹介している回路としては…
→ トランスを用いた自作ACアダプタ (正負電源出力仕様)。
→ オペアンプ+SEPP分圧。
もちろん、偶数本の電池を用いて正負電源としてもOKです。電圧はオペアンプやコンデンサの耐圧次第ですが、この定数のままで±2.5V~±15Vまでは確認済みです。
回路図

回路図は片チャンネル分です。また、電源回路を省略しています。
*2014/08/13…R1削除、C1場所変更、VR抵抗値変更(20kΩ→10kΩ)、R10-12抵抗値変更(47Ω→22Ω)
実体配線図


秋月C基板にかなり高密度実装しています。とはいえ、チップ部品の使用や特殊な配線方法はしていないので、作製自体は面倒ですが難しくはない・・・はず。配線図中で赤いラインがジャンパ線を示していますが、片面基板を使えば被覆線を使う必要はありません。
オペアンプはデュアル仕様で配線してあります。シングルオペアンプはデュアル化してください。なお、上記配線図には、回路図中に記載していない電源のデカップリングコンデンサを設置してあります。
J7-8のジャンパは配線図だけだと実際に使う場合の接続がわかりにくいかもしれません。配線図上で見た時に、ジャンパを縦に接続するのが通常使用時、横に接続するのが出力抵抗スルー時です。記事冒頭の完成写真も参考にしてください(通常使用時の接続になっています)。
部品表
U1 | LT1128 (利得オペアンプ) | 2回路分 |
U2 | LM6171 (バッファオペアンプ) | 2回路分 |
U3 | LT1112 (サーボオペアンプ) | 2回路分 |
C1-2 | フィルムコン 220pF (LPF用) | 4ヶ |
C3 | マイカコン 68pF (位相補償) | 2ヶ |
C4-5 | フィルムコン 1uF (サーボ用) | 4ヶ |
C6 | フィルムコン 0.1uF (Zobel回路) | 2ヶ |
C7-8 | フィルムコン 0.1uF (オペアンプパスコン) | 6ヶ |
C9-10 | 低ESR電解コン 10uF (パスコン) | 2ヶ |
C11(回路図未記載) | フィルムコン 0.1uF (デカップリング) | 2ヶ |
C12(回路図未記載) | 電解コン 470uF (デカップリング) | 2ヶ |
R2 | 2kΩ (バイアス) | 2ヶ |
R3 | 1kΩ (入力) | 2ヶ |
R4-5 | 2.4kΩ (接地・ゲイン決定) | 4ヶ |
R6 | 4.7kΩ (帰還) | 2ヶ |
R7 | 10kΩ (サーボ出力) | 2ヶ |
R8 | 1kΩ (LPF) | 2ヶ |
R9 | 100Ω (入力) | 2ヶ |
R10-12 | 22Ω (出力) | 6ヶ |
R13-14 | 100kΩ (サーボ) | 4ヶ |
R15 | 10Ω (Zobel回路) | 2ヶ |
VR | 10kΩ Aカーブ | 1ヶ |
J1-7 | ピンヘッダ (切替ジャンパ) | 18pin + α |
J1-7 | ジャンパ | 8ヶ |
特に指定部品は無いですが、R1~R12 (R2, 7, 8は除く)については音響用の抵抗を使ったほうが良いでしょう。VRも音質に大きな影響を与えます。定評のある品を使ったり、電子ボリュームに置き換えたりするのがオススメです。
C9-10はスペース的な問題で5mmサイズの電解コンデンサを選択して下さい。C3のマイカコンデンサは、フィルムコンデンサ100pFと220pFの直列接続に置き換えてもOKです。(=約68pF)
オペアンプの品種はお好みで。サーボはLT1112がオススメです。鈴商にて激安で販売しています(SOP品が\210)。秋月もDIP品が\300と安価。
各種ジャンパ設定
- J1-2・・・ゲイン切替。ショート時5倍、オープン時3倍になります。
- J3-4・・・U1の出力切替。CMOYやA47系にするならショート、シリーズ接続にするならオープンに。
- J5-6・・・U2の出力切替。A47ならオープン、A47出力強化やシリーズ接続ならショートに。
- J7-8・・・U2の出力抵抗の有無を切替えます。基本は縦に接続してください。横に接続すると出力抵抗スルー、オープンにするとU2経由の出力をカットします。
- CMOY・・・J3-4をショート、J7-8をオープンにする。U2を外してもOK。
- A47・・・J3-4をショート、J5-6をオープンにする。
- A47出力強化・・・J3-4をショート、J5-6をショートにする。利得に対してバッファの出力抵抗が1/2になり、バッファに負荷をかける形で出力を稼ぎます。
- シリーズ接続・・・J3-4をオープン、J5-6をショートにする。J5-6をオープンにしても問題は無いですが、単純に出力抵抗が大きくなるので出力が減少します。
- ディスクリバッファ搭載時・・・J3-4をオープン、J7-8を横接続にして出力抵抗スルーにする。別ボード上に出力抵抗を設置するのが前提です。
製作のポイント
- ちょうど基板真ん中辺りのDCサーボ入力にあたる100kΩ抵抗は、ジャンパを兼ねて長めに伸ばしてあります。完成写真のように、オペアンプ側の足を短く、逆側を長くして配線する方が良いでしょう。
- 利得オペアンプのパスコンである10uF電解コンは、予め足をフォーミングしておきましょう。5mmサイズのコンデンサそのままでは、斜めに設置できません。
- 上記実体配線図で作成すると、入力・出力GNDが2系統になります。外部入力からアンプ回路まで、アンプ回路出力から出力ジャックまでの間でGNDループを形成しないように注意が必要です。
- Zobel回路については、0.1uF + 10Ωというよくある組み合わせにしてあります。ヘッドホンに合わせて変更したい方は適当に変えてください。自分用の基板では、K701専用定数として「0.15uF + 62Ω」にしてあります。
- C3はマイカコンデンサ推奨ですが、フィルムコンデンサにしたい場合は100pFと220pFを直列に接続すればOK。スペースには余裕があるので、配線は適当に変えてください。
コメント・使用感
- オペアンプの品種ですが、利得は好みの音質の品種、バッファは出力電流が大きい品種を選択するのが良いでしょう。もちろん、使う品種で音質は変わっていきます。
- アクティブDCサーボに使う品種ですが、定石としてはJFET入力かつ低ノイズなオペアンプを選ぶのが望ましいです。OPA2134やOPA2604を選ぶ方が多いようですが、今回はLT1112を選択しました。JFET入力では無いですが、低ノイズかつオフセットが極小で、利用可能な電圧が幅広く、かつ省エネなオペアンプです。しかも安い。
- アクティブDCサーボですが、思った以上に高性能ですね。入力に数mVのオフセット電圧をかけた状態でも、出力オフセットは測定上0.0mVを示しました。シミュレーション上では100mVのオフセットをかけても数uVまで減衰できる様ですが、実測ではそこまで測れませんでした。少なくとも、実用レベルではほぼ完全でしょう。
- 音質は、もちろんオペアンプ次第です。回路の影響を受けやすい品種やあまり変わらない品種など、色々ありますのでお試しください。電流帰還系オペアンプは使えませんが、そうでなければ、かなりの品種が使えるはずです。
- 個人的には、ゲイン3倍・A47出力強化で「LT1128A・LM6171」という組み合わせがお気に入りです。ただし、リレーを使うなどしないとポップノイズが厳しいので注意。
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