前回は、「出力オフセットやポップノイズ対策のススメ」という内容でした。続きの本記事はちょっと違った話題。
どれだけ優れた設計の回路を採用しても、実装が悪いと思った様な性能は出せません。基板の設計も当然影響してきますが、配線やケースへの設置はある意味それ以上に音質へ影響を与えます。
分かっている方にとっては常識的な事なのでしょうが、配線の仕方一つで音質が変わる事を知らないのはもったいない。自作アンプの画像を色々見ていると、そういった「もったいない」配線の作例が結構あります。
…まあ、なにより自分がそうなのですが。(基板を製作した時点で満足してしまって配線がおざなりになりがちだったりします…)
というわけで、この辺に気をつけつつ本編へ。ケースの穴あけや部品配置などの話題です。
他の工程についてはコチラ。
- 第一回(安全性向上のための周辺回路)
- 第二回(基板の配置とケース加工)…本記事
- 第三回(GND周りと配線)
基板の配置
当然といえば当然ですが、最終的な配線をイメージしながら基板の配置を決めましょう。それぞれ配線接続先との距離が最短になるように出来ればベストですね。市販キット等のプリント基板では難しいですが、ユニバーサル基板で作製する場合は基板レイアウトから完成時の配線を考えておくと美しく仕上がります。
冒頭の写真を例に挙げると、ACアダプタからの電源ラインをケースの端に配置させ、音声ラインは電子ボリューム経由の最短ルートで増幅回路に接続するようにしてあります。配線が多くなるほど、最初の基板配置が重要になりますので気をつけましょう。見た目がキレイな配線は、自然とノイズを拾わないような状態になっているものです。もちろん音質にも影響します。
ケースの穴あけ
今回はタカチのYM-150ケースを使いました。扱いやすく、価格もお手頃なのでYMシリーズは結構愛用しています。見た目もそれほど悪くは無いですし。なお、縦長配置を想定しているのでケースを「逆さ」にして使っています。この方が扱いやすいですし、見た目も良いので。
大型ケースに色々と配置する場合は別ですが、今回程度の小規模な工作であればわざわざ図面を描かなくても大丈夫でしょう。というわけで、現物合わせで穴あけ。写真の様に、実際に基板を置いて穴の位置を確認し、印をつければ大体いい位置に穴あけできるでしょう。
なお、このレイアウトを参考にする場合は、上記写真よりももう少しフロントパネル側(写真右側)のスペースを広く取った方が良いかもしれません。リアパネル側にはスペースの余裕がありますが、フロント側の標準ジャックが若干増幅回路基板と干渉する可能性があります。
YMケースは薄めのアルミケースですので、穴あけは比較的楽です。ホームセンターにて1000円程度で売っている電動ドリルがあれば十分に作業できるでしょう。基板の設置位置を決めたら、実際に基板を固定しつつ、パネルに設置するジャック類も現物合わせで位置を決めて、適宜穴あけしてしまいます。
基板の固定
メタルケースに基板固定する際に使うスペーサーって、意外に高いですし入手が面倒だと思いませんか?
一般的なM3ネジで基板を固定する場合、スペーサーの代用品としてM4ナットがいい具合に使えます。高さも3mm程度ですので低背仕様で収まりますし、ホームセンター等で安価に入手できるので便利(1つ5円とかですし)。
実際にはこのように仕上がります。注意点は、普通のスペーサーより面積を取る事。基板固定用のネジ穴周辺に少しゆとりを持って設計しないと、基板の配線とケースがショートしてしまう可能性があるので注意が必要です。マルツのユニバーサル基板の場合は、固定穴周辺を1穴分空けておけば大丈夫。
意外に長くなったのでこの辺で。基板や各種ジャック類の配置を上手く考えておくと、この後の配線が上手くいきます。ということで、後は配線を行なって仕上げです。
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