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Author:kiry
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ADuM4160を使ったUSBアイソレータ。
ネットを眺めていたら、こんな話題が2chまとめ系サイトでネタになっていました。

本当にケーブルで音が変わるのか?1万円のUSBケーブルと500円ので比較してみた! → 同じだった…   Sound Field ~オーディオのまとめ~

まあ、ソースの記事が
  1. 「ジッタの測定とジッタの大小による音質差」を調査
  2. USBケーブルによる「ジッタ」の大小測定 (音質には触れず)
という内容なのに、「USBケーブルの音質に差がない!」という方向でスレが進んでいくあたり、スタート地点から話のすれ違いがあるかな・・・とは思うのですが。


DACにおけるジッタと音質の関係については特に異論はないのですが、USBケーブルで音質が変わるとしたらポイントはジッタやデータ転送ではなく、「Vbus・GND」の電源ラインの質とケーブルのノイズ対策の差が効いてくるのでしょう。つまり、デジタル転送用のケーブルですがアナログ部分が影響していると思われます。

USBでは4本の配線があり、データ送受信のD+ ・ D-ラインと電源供給のVbus・GNDラインになっています。電源ラインによるアナログ回路への影響が大きいのはもちろんですが、それに加えてデジタル系であるデータラインからもPCからのノイズがDAC側に送られてしまいます。そうすると、回路にもよりますがデジタル系を介してアナログ回路へノイズが回りこむ事になり、結果として音質に悪影響を与えることになります。

というわけで、USBケーブルでもアナログ部分に与える影響が無視できない・・・という事で。高級USBケーブルを使った事はありませんが、ケーブルの品質差としてはこの辺に効いているのでしょうね。


で、ここまでは前置き。

個人的には、ネタになっているような高級USBケーブルを使うよりも「USBアイソレータ」を使ってPCとDACの間を絶縁し、ノイズをカットしてしまう方が根本的な解決になると思います。

という事で、「ADuM4160」を使ったUSBアイソレータのご紹介。

ADuM4160を使ったUSBアイソレータ。


回路の概要

  • 外部電源が必要(DC 9~12V位)
  • アイソレート後の電源もフィルタして低ノイズ化

回路的にはほぼリファレンス通り。電源ラインを外部供給する形にしているので、バスパワー駆動ではなくなってしまいますが。

回路図


ADuM4160を使ったUSBアイソレータ  

実体配線図


ADuM4160を使ったUSBアイソレータ実体配線図  

ADuM4160をDIP化するのに、変換基板ではなくハーフピッチのユニバーサル基板を使っています。秋月などにある両面スルーホールタイプを適当なサイズに切り出して使いました。この方法ですとサブ基板に付ける足の本数が少なくて済む事と、ICピン直近にパスコンを設置できるのがメリットです。

USB入力とDC入力のラインにスイッチを付けてあります。この場合、2連スイッチが必要です。また、LEDも両方に付けてあります。これは必須ではありませんが、出力側のLEDは三端子レギュレータの負荷になっているので付けておいたほうが良いでしょう。

部品表


U1ADuM4160 (USBアイソレータ)
U25V 三端子レギュレータ (品種は何でも可)
D11N4148 (三端子レギュレータの保護用)
LED適当に。
C1電解コンデンサ 100uF/16V以上
C2-3, 5フィルムコンデンサ 0.1uF
C4電解コンデンサ 100uF/10V以上
C6, 8-11積セラ 0.1uF
C7電解コンデンサ 10uF
R1, 73kΩ (LED電流制限抵抗)
R2-522Ω
R63Ω (RCフィルタ。もう少し大きくても良いかも。)
FILDCラインフィルタ BNX-002 (無くても可。)

ADuM4160ですが、国内通販だと「RSオンライン」で入手可能です。22Ω抵抗ですが、リファレンスでは24Ω/1%品になっています。気になるようなら変更して下さい。22Ω/5%品でも特に問題はありませんでしたが。

製作のポイント


ADuM4160のチップ自体もそれなりにノイズ発生源になりうるので、ICの配置や配線には注意したほうが良いでしょう。

バスパワー用で作製したい場合、電源ラインに絶縁DCDCを使う必要があります。秋月にある絶縁DCDCや、「ADuM5000」などがあります。

使用感


愛用中の「nabe氏のPCM2704DAC」にて、PC直結と本USBアイソレータ経由接続を比較すると、音の明瞭感が全く違ってきます。「よく聞き比べると違います」というレベルではなく、明らかに差を感じるレベルでした。USBアイソレータ経由を聞いた後にPC直結を試すと、ややボケた感じに聞こえます。冒頭の話題のような高級USBケーブルを検討する位なら、本回路のようなUSBアイソレータを使うほうが効果が高いでしょう。材料費もそれほどかかりませんし。

今回試験したようなバスパワー駆動のUSBDACではUSBケーブルが唯一の電源供給元になるので、電源の強化という意味でも効果が高いでしょう。アナログ回路へ電源が別供給されているセルフパワーのUSBDACでも、USB・デジタル系からのノイズをカット出来るのでかなりの効果が見込めます。

ただ、ICの問題なのか設計の問題なのかは別として、「GNDが揺らぐとロックが解除される」という現象が発生します。具体的は、USBアイソレータとGNDを共有しているすべての機器(アンプなど)の電源をオンオフしたりすると、PCがUSBDACを見失ったりします。まあ、USBDACの電源を入れ直せば復活するのですが、多少注意が必要です。
電子工作 | [2012-03-21(Wed) 01:48:53]
Trackback:(0) | Comments:(6)
コメント:
はじめまして

なべの雑記帳から飛んできました。
向こうでも同じ名前で名乗ってます。(名前が紛らわしくてごめんなさい^^;)
私はADuM3160で作ったのですが(値段が倍くらい安かったので絶縁性能だけの差かなと。。。)
参考にさせていただきましたので、この場を借りて感謝を!
村田のDCラインフィルタがなかったので自作しようと思いましたが、貫通コンデンサもないので適当なLCフィルタとレギュレーターで代用したり、若干違うのですが(USB切替器も兼ねてたり。。。)
ケースはMX2-8-10に余裕で収まりました。(久しぶりに余裕のある配線にできました)
アップストリームのコンデンサは規定があるようなので10uFのタンタルにしましたが、ダウンストリーム側はADuMを含めてコンデンサもりもりにしてみました。。。
そのおかげか?アンプなどの外部機器の電源ON/OFF
でDAC見失ったりすることもないです。(DACはなべさんの最強PCM2702を参考して作ったリチウムイオン電源なPCM2702です、VDDの電源だけUSBから取る構成のため効果抜群でした)
私もたぶん同時期くらいに家中のUSBケーブルをかき集めてRMAAを計測していましたが、アイソレートすれば完璧ですね!(これを使ってRMAA計測してないけどw)
まあ音は良くなってるので数値も上がっていると信じています!

高級USBケーブルは絶対に買わないけど、USB音源の人には万人にお勧めですね(外部電源使うけど。。。)
2012-06-25 月 20:53:28 | URL | KIRI #2NKnmN5w [ 編集]
KIRIさま
コメントありがとうございます。

なべさんのブログで興味深いコメントされているのを拝見してます。名前似ているので何となく気にして見ていました(笑)。

リチウム電池駆動なら電源ノイズ的には理想的ですね。PC由来ノイズをカットしてしまえば、電源系ノイズは相当少なそうです。あと、ダウンストリーム側のコンデンサ増量はイイですね。


>高級USBケーブルは絶対に買わないけど、USB音源の人には万人にお勧めですね(外部電源使うけど。。。)
記事にも書きましたが、高級USBケーブル買う位ならアイソレータ作ればイイのに…とか思います。外部電源については、「絶縁型DCDC」使えばバスパワーで収まるかな…とは考えました(秋月にもありますし、ADuM5000なんてICもあります)。
バスパワーに拘りが無かったので外部電源使用にしちゃいましたが。
2012-06-27 水 01:46:14 | URL | kiry #- [ 編集]
kiryさん こんにちは

>高級USBケーブルを使うよりも「USBアイソレータ」を使ってPCとDACの間を絶縁し、ノイズをカットしてしまう方が根本的な解決になる。
との記載に歓喜して拝読させていただきました。

わたしは、PC - DAC - ヘッドホン の構成で、可能な限りですが電源やコードにも手を入れ、音楽を楽しんでおりますが結果に納得できていませんでした。そしてご指摘のようにUSBアイソレータをぜひ利用すべしとの結論に達しました。

DACはDN-11674でDSDネイティブや32bit192KHzの再生を目的としています。
しかし、同時にネットで見つけた共立電子のUSBアイソレーター / WP-904UIS は ADuM4160BRWZ使用で 16bit 44.1/48kHzにのみ対応 となっています。

kiryさんの回路が基本的なADuM4160仕様のものであると理解しております。これでハイレゾに対応できるならば直ぐにも作成・使用したいのです。あるいはお勧めのハイレゾ仕様がありましたなら、どうかアドバイスをお願いいたします。


2015-03-08 日 21:47:24 | URL | Macki #- [ 編集]
>Mackiさん

共立さんと同様の答えになりますが、IC自体の性能が不足しているのでハイレゾ音源では使えないです。
DSDや32bitPCMも視野にいれるとなると、速度の低下が伴うアイソレータの使用は避けたほうが良いでしょう。おそらく動きません…

お手軽かつそれなりに効果がありそうなのは、USBの5V電源ライン(およびGND)へのフィルタでしょう。お安いものとしては、「Stereo 2015年1月号」付録のUSBノイズフィルターなどでしょうか。メーカー製の物も探せばあるようです。単純に、PC由来のVbusラインを切って、外部から5V供給する基板を作っても効果はあるかと思いますが…

ご期待に答えられそうな返信が思いつかず申し訳ありませんが、信号線への対策は難しいと思います。DN-11674の写真を見る限り電源系が弱そうなので、外部5Vにまともな電源をつなぐだけでも効果がありそうな気もします…
2015-03-09 月 00:55:13 | URL | kiry #G.Wk6TwM [ 編集]
kiryさん

早速のアドバイス有難うございました。
>DSDや32bitPCMも視野にいれるとなると、速度の低下が伴うアイソレータの使用は避けたほうが良いでしょう。おそらく動きません…

やはり無理なのですね。
>単純に、PC由来のVbusラインを切って、外部から5V供給する基板を作っても効果はある...
ことを期待して、手軽なところで「イトウ電子部品・通販の USB2.0 対応フィルター基板 Ver2 1,500円(税込)」を使ってみようと思います。
「Stereo 2015年1月号」付録のような突入電流抑制回路はついていませんが、仕様は

>D+、D-のラインには USB2.0対応 コモンモードチョークコイル「DLW21SN900SQ2」を使い 信号ラインのコモンモードノイズを少なくさせると共に、
VBUSとグランドには
チップフェライトビーズインダクタ「BLM21PG600SN1」と、0.1uFの積層セラミックコンデンサと超低ESRの導電性高分子タンタル固体電解コンデンサ(POCSAP)でノーマルモードノイズを低減させ、さらにコモンモードチョークコイル「ACP3225-102-2P」でコモンモードノイズを低減させています。
また、VBUSでの動作だけではなく ジャンパーを抜くことにより、クリーンな外部電源での使用も出来るようにしています。
USBオーディオにも効果があり、高サンプリングレートにも対応しています.....

とのことですので。
ただ、私の5v外部電源はスイッチングではなくリニアの定電圧電源ですが、OUTのコンデンサーが6800μFなので、突入電流が怖いといえば怖いところですが、試してみます。

2015-03-09 月 19:32:38 | URL | Macki #- [ 編集]
このコメントは管理者の承認待ちです
2022-03-17 木 17:16:56 | | - # [ 編集]
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